業務用フライヤーのリセットボタン|押す前の確認と何度も落ちる原因

トーキョーアポロメンテナンス

 

営業中に業務用フライヤーが急に止まり、種火もつかなくなった。取扱説明書を見たら「リセットボタン」がある——そんなとき、すぐに押してよいかどうかは、止まった理由しだいです。リセットボタンは、油の温度が上がりすぎたときに加熱を止める安全装置を元に戻すためのものです。東京・神奈川・埼玉・千葉の飲食店でフライヤーの修理を手がけるトーキョーアポロメンテナンスが、押す前に確認したいことと、押してもまた止まるときに考えられる原因を整理します。

この記事の要点

  • 煙・焦げたにおいがあるときは、リセットより先にガス栓・電源を切る。ガスのにおいがするときは、スイッチ類に触らずにガス栓を閉め、ガス会社へ連絡する
  • 押すのは油が冷めてから。油の量・揚げカス・ヒーターの収まりを先に確認する
  • 押してもまた止まるなら、温度を管理する部品の不具合を疑い、押し続けずに点検を依頼する

最初に確認|こんな状態ならリセットは後回し

次のどれかが当てはまるときは、リセットボタンのことはいったん忘れてください。

  • 油から白い煙が上がっている、焦げたようなにおいがする
  • ガスのにおいがする
  • 油槽や本体の外側が、ふだんより明らかに熱い

▶ 煙・におい・異常な熱さがあるとき
ガス式はガス栓を、電気式は電源を切り、油には近づきすぎないようにしてください。ガスのにおいがするときは、火花の原因になる換気扇や照明などのスイッチを操作せず、窓や戸を開けてから、ご契約のガス会社の緊急連絡先へ連絡してください。頭痛・吐き気・めまいを訴える人がいれば全員で屋外に出て、症状が続くときは119番に連絡してください。

▶ 油に火がついてしまったとき
水は絶対にかけないでください。消防庁の消防研究センターは、水を注ぐと突沸して危険だとしたうえで、可能であれば、まずガスコンロなどの火を止めること(フライヤーならガス栓・電源を切ること)、天ぷら油火災には強化液消火器が効果を発揮すること、消火剤を放出すると一時的に火勢が拡大するので狭い台所で使うときは注意すること、油は高温なのでやけどに注意することを挙げています。同センターは、強化液消火器として販売されているものの中に、天ぷら油火災には有効でないと考えられる「中性強化液」という種類が含まれていることにも注意を促しています(出典:消防庁 消防大学校 消防研究センター ホームページ「天ぷら油火災(消火器具)」/2026年9月時点)。

実際に火が出たら、大きな声で周りに知らせ、店にある消火器で初期消火をしてください。119番通報は周りの人に頼むなどして、早めに行います。東京消防庁は事業所向けの案内で、避難路を確保し、「出火室内が燃え広がっている」や「天井などに火炎が達して燃え広がっている」状態では無理せずに避難するよう呼びかけています(出典:東京消防庁ホームページ「初期消火のポイント 火災時は、こんなところに気をつけよう!」/2026年9月時点)。店の消火器がどの種類かは、ふだんのうちに確かめておきましょう。

リセットボタンの正体は「油の上がりすぎ」を止める安全装置

業務用フライヤーの多くには、油の温度が異常に上がったときに加熱を止める安全装置が付いています。呼び名はメーカーによって違い、「過熱防止装置」「過昇防止サーモ」などと書かれています。ガス会社の業務用フライヤー向けの案内では、この安全装置が働くと種火が保持しない・点火しない状態になること、安全装置にはリセットボタンが付いていて、機器の安全を確認したうえで解除すること、ボタンの位置はメーカーごとに異なるので取扱説明書を見ることが説明されています。

なぜここまで厳重なのかは、油の温度を考えるとわかります。消防研究センターの解説では、天ぷらを揚げているときの油は「180℃位」、天ぷら油火災になっているときの油は「300℃を大きくこえています」とされています(出典:消防庁 消防大学校 消防研究センター ホームページ「天ぷら油火災(マヨネーズでの消火)」/2026年9月時点)。また、市販の植物油が火種なしで発火する温度は約370℃とされています(出典:製品評価技術基盤機構(NITE)ホームページ「ガスこんろ『4.天ぷら油の発火(きれいな鍋)』」/2026年9月時点)。安全装置は、油がこの領域に近づく前に加熱を断つための最後の砦です。

油の火災は、飲食店にとって身近なリスクでもあります。東京消防庁の統計では、令和6年中の天ぷら油火災は176件で、住まい以外で起きた97件のうち79件(81.4%)が飲食店でした(出典:東京消防庁ホームページ「令和7年版 火災の実態(確定版)」第4章/2026年9月時点)。リセットボタンは「押せば直るボタン」ではなく、油の温度に異常があったと機器が判断して止まった合図だと考えてください。

押す前に確認したい4つのこと

1. 油が十分に冷めているか

熱いうちはボタンが戻らない機種があります。電気フライヤーを扱うキプロスターのFAQでも、安全装置の芯棒を押し戻す手順について「油温が高いと戻せません。温度が冷めた後に行って下さい。」と案内されています。油が高温のまま手を近づけるのはやけどの危険もあるので、ガス栓・電源を切った状態で、まず冷めるのを待ちましょう。

2. 油の量が規定のラインにあるか

揚げ物を続けると油は少しずつ減ります。規定量より少ないと、加熱する部分が油から出て空だきに近い状態になったり、温度を正しく測れなくなったりして、安全装置が働く原因になります。電気フライヤーには、過昇防止のほかに「空だき防止」の装置を備えた機種もあります(ホシザキの電気フライヤーの一部機種の製品紹介に記載)。油槽の目盛りと実際の油面を見比べてください。

3. 温度センサーのまわりに揚げカスがたまっていないか

油の温度を測る部分(感熱部)に揚げカスが付いたり、油槽の底にカスがたまったりすると、実際の温度とセンサーの読みがずれます。前出のキプロスターのFAQは、油槽底に揚げカスがたまっている場合について「油温を正常に感知出来ず大変危険です」としています。センサーを傷つけないよう、冷めてから揚げカスを取り除いてください。

4. 電気式は、ヒーターの収まりとブレーカー

ヒーターを持ち上げて掃除するタイプの電気フライヤーでは、ヒーター部が本体にきちんと収まっていないと通電しない仕組みの機種があります。掃除のあとで動かなくなったなら、まずヒーターの収まりを見直してください。また、機器に付いている漏電遮断器や店のブレーカーが落ちている場合は、油の温度の安全装置とは別の話です。漏電遮断器が何度も落ちるときは漏電が疑われるため、入れ直しを繰り返さず点検を依頼してください。

リセットの基本的な流れ

具体的な手順は機種ごとに違うので、必ず取扱説明書を優先してください。一般的には次のような流れです。

  • ① ガス栓を閉める(電気式は電源を切る)
  • ② 油が冷めるまで待つ
  • ③ 取扱説明書でリセットボタンの位置を確認する(カバーを外して押す機種もあります)
  • ④ 油の量・揚げカス・ヒーターの収まりを確認する
  • ⑤ リセットボタンを押し、通常の手順で点火・運転する
  • ⑥ 設定温度に上がって安定するまで、そばを離れずに様子を見る

⑥が大切です。原因が残っていれば、温度が上がる途中で再び止まるか、止まらずに温度が上がりすぎることがあります。再び止まったときは続けて押さず、設定温度を超えて上がり続ける、煙が出るといったときは、すぐにガス栓(電気式は電源)を切って使用をやめ、点検を依頼してください。設定温度どおりに揚がっているかの見方は業務用フライヤーの温度設定と設定通りにならない原因・対処法で解説しています。

押してもまた止まる(何度も落ちる)ときに考えられる原因

リセットしても同じことが起きるなら、安全装置が働くだけの理由が機器の中に残っています。キプロスターのFAQも「頻繁に安全装置が作動する場合は、故障が考えられます」としています(同FAQは、その場合は販売店へ連絡するよう案内しています)。

▶ 温度を調節する部品(サーモスタット)の不具合
設定温度で加熱を止めるはずの部品がうまく働かないと、油が設定より熱くなり、最後の安全装置が止めることになります。このとき安全装置は正しく働いているので、ボタンを押すだけでは解決しません。温度まわりの不調は業務用フライヤーの温度が上がらない原因と対処法もあわせてご覧ください。

▶ 安全装置や配線そのものの劣化
長く使った機器では、安全装置の部品や配線の傷みが原因で止まることもあります。油が本当に熱くなりすぎているのか、部品の側に問題があるのかは、実際の油温を測りながら確かめないと判断できません。

▶ 別の症状が重なっている
リセット後も種火がつかない場合は点火まわりの問題が隠れていることがあります(フライヤーの火・種火がつかない|業務用の点火トラブル対処)。いったんついた火が途中で消える場合は、換気や給気の影響も考えられます(業務用ガス機器の火が途中で消える|立ち消えの原因と確認手順)。

やってはいけないこと

  • リセットボタンをテープや物で押さえたまま使う……安全装置の働きを妨げ、油が上がりすぎても止まらなくなるおそれがあります
  • 安全装置を外す、配線をつなぎ替える……ご自身での分解・改造は火災や感電の危険があります
  • 止まるたびに押して営業を続ける……原因が残ったまま運転を続けることになり、危険です
  • リセット直後に持ち場を離れる……東京消防庁の同じ統計でも、令和6年中の天ぷら油火災176件のうち128件は「放置する・忘れる」ことで起きています

日々の揚げカス取りや油の交換は、安全装置を働かせないための一番の予防です。閉店後の手入れは閉店後5分でできる厨房機器のお手入れルーティンにまとめています。

点検を頼むときに伝えると早いこと

お電話の際に次のことがわかると、伺う前に原因や必要な部品の見当をつけやすくなります。

  • メーカー名と型番(本体の銘板に書かれています)、ガス式か電気式か
  • 止まったタイミング(温度が上がる途中/営業のピーク中/掃除のあと など)
  • リセットを何回したか、押したあとどうなったか
  • 油の量と、最後に油を替えた時期

年式の古いフライヤーでは、安全装置や温度調節の部品が「もう出ないので買い替えを」と言われることがあります。そうした他社で断られた修理にも、当社は対応しています。安全装置は機器に適合する部品への交換が前提で、手配できるかどうかも含めて現物を見て判断します。そのほかの部品は、幅広く持っている在庫のほか、部品の製作や機器に合わせた改造で使い続けられる場合があります。直すか買い替えるかで迷ったときは厨房機器は修理と買い替えどっちが得?判断基準をプロが解説や厨房機器の修理を断られた——「買い替えしかない」と言われる前に知っておきたいことも参考にしてください。メーカーを問わずお受けしますので、「押しても止まる」段階でご相談ください。

出典:消防庁 消防大学校 消防研究センター ホームページ「天ぷら油火災(消火器具)」「天ぷら油火災(マヨネーズでの消火)」。本記事では、これらの内容をトーキョーアポロメンテナンスが要約・編集して紹介しています。

厨房機器の修理・メンテナンスのご相談

24時間365日対応|メーカー不問|他社で断られた修理もOK

☎ 03-6904-0731

お問い合わせフォーム