業務用冷蔵庫・製氷機のドレン清掃|水トラブルを防ぐ手入れ手順

トーキョーアポロメンテナンス

 

厨房の水まわりのトラブルは、ある日突然起きるように見えて、実際はその前の数か月でじわじわ準備されています。冷蔵庫や製氷機では、原因の多くが「ドレン(排水)の詰まり」だからです。冷蔵庫の下から水が出た、製氷機の前の床が濡れた——そうなってから慌てるより、詰まる前に手を入れたほうが、時間も費用も抑えやすくなります。

この記事では、業務用厨房機器の修理・メンテナンスを専門に行うトーキョーアポロメンテナンスが、厨房のドレンまわりをどこまで自店で手入れできるのか、どんな手順で、どのくらいの間隔で行えばよいのかを、機器別に整理してご説明します。

厨房の「ドレン」は3つの経路に分かれている

「排水が詰まった」と一口に言っても、詰まっている場所は3か所のどれかです。ここを分けて考えると、自店でやれることと業者を呼ぶべきことの線引きがはっきりします。

① 機器の内側の排水(ドレンパン・ドレンホース)

冷蔵庫や冷凍庫は、霜取り運転で生じた水を庫内の排水口から外へ逃がしています。この通り道がドレンホースで、受け皿がドレンパンです。フクシマガリレイのウェブサイト「業務用冷蔵庫・ドレンホースの清掃・メンテナンス方法とは?」では、ドレンホースを「冷蔵庫内で発生した水を蒸発皿や排水口(建物側)に流す役割を担っているホース」と説明し、清掃を怠ると「霜取りの水が流れなくなり、霜が付いて冷えなくなってしまいます」としています。つまりドレンの詰まりは、水漏れだけでなく「冷えない」の原因にもなるということです。

② 機器から建物側へ渡す部分(排水ホース・接続部)

機器の外に出た水は、床の排水口や排水ピットへ流れます。ここはホースの折れ、抜けかけ、機器の設置の傾き、そして排水口より機器側が低くなってしまう「逆流」が問題になる場所です。掃除をしても繰り返し漏れる場合は、汚れではなく設置のしかたを疑ったほうが早いことがあります。

③ 厨房の床の排水(排水溝・グリストラップ)

床の排水溝から先が詰まると、機器側が正常でも水が流れなくなります。ここは機器の修理ではなく、店舗の清掃・管理の領域です。グリストラップの扱いについては「グリストラップの清掃頻度と放置リスク」で詳しく解説しています。

厨房のドレンが詰まる理由は家庭用と違う

厨房のドレンが詰まる原因は、単なるホコリではありません。

▶ 油煙が水の通り道に入り込む
揚げ物や炒め物の油煙は厨房中を回ります。これが排水経路の内側に付くと、そこにゴミが引っかかり、層になって流れを細くしていきます。

▶ ぬめり(バイオフィルム)が育つ
常に水が通る場所は、ぬめりが出やすい環境です。とくに製氷機の排水経路は水が絶えず流れるため、放っておくと膜のようにこびり付きます。

▶ 低温で油が固まる
冷蔵・冷凍機器まわりの排水は温度が低く、油が固まりやすい条件がそろっています。夏は問題がなかった経路が、冬になって流れにくくなることがあります。

家庭用の冷蔵庫と同じ感覚で「うちはまだ大丈夫」と考えないほうが安全です。業務用は開閉回数も稼働時間も桁違いで、通る水の量そのものが多くなります。

機器別|ドレンまわりの手入れの手順

どの機器でも、作業の前にまず電源スイッチを切り、電源プラグを抜いてください。水まわりを通電したまま触らないことが大前提です。プラグのない直結配線の機種では、分電盤の該当ブレーカー(漏電遮断器)を切ってから作業してください。

業務用冷蔵庫・冷凍庫

▶ 庫内の排水口に水を流す
ドレンホースの清掃方法として、フクシマガリレイは同じページで「ストロー付きボトルを使って、庫内の排水口に水を流すようにしてください」と案内しています。針金など硬いものを差し込む方法ではありません。

▶ ドレンパンにたまった水を捨てて洗う
受け皿に水が残ったままだと、においやカビの原因になります。水を捨て、洗って乾かしてから、元の位置に正しく戻すところまでが1セットです。戻す位置がずれているだけで床が濡れることは実際によくあります。なお、ドレンパンに受けずに建物側の排水口へ直接流す機種もあります。

▶ 凝縮器フィルターのほこりを落とす
排水そのものではありませんが、同じ日にまとめてやると効率的です。同ページでフクシマガリレイが示す清掃頻度の目安は「凝縮器フィルターの清掃:月に2回」「ドレンホースの清掃:1年に1度程度」「凝縮器本体の洗浄:3年に1度程度」で、凝縮器本体については「専門業者に依頼して清掃してもらうことをおすすめします」としています。ただし適正な間隔は機種と設置環境で変わり、当サイトの他の記事では週1回・月1回を目安として挙げているものもあります。お使いの機種の取扱説明書に頻度や手順の指定がある場合は、そちらが優先です。

すでに水が出てしまっている場合は「業務用冷蔵庫の水漏れ・水が出る原因と対処|ドレン詰まりを確認」を、冷えのほうが気になる場合は「業務用冷蔵庫が冷えない原因と応急処置」「業務用冷凍庫が冷えない原因と応急処置」をご覧ください。

業務用製氷機

厨房の機器のなかで、排水経路に水が流れている時間がいちばん長いのが製氷機です。ドレンまわりの手入れの優先度も、この機器がいちばん高いと考えてください。

▶ 貯氷庫の排水口まわりを点検して汚れを取る
氷をいったん使い切ったタイミングが作業しやすい瞬間です。排水口につながる管は抜けない構造になっている機種があり、無理に引き抜いたり硬いものを突っ込んだりしないのが鉄則です。

▶ 古い氷をためこまない
排水が滞った庫内に氷が残り続ける状態は、衛生面でも避けたいところです。氷はそのままお客様の口に入る食品です。

詳しい手順と、水漏れが起きてしまったときの対処は「業務用製氷機の水漏れ|床が濡れる原因と排水詰まりの対処法」に、内側の洗浄と自店でやる範囲の線引きは「業務用製氷機の分解洗浄と衛生管理」にまとめています。

業務用食洗機

食洗機は残菜と油が同時に流れる機器です。残菜フィルター(ストレーナー)を毎日外して洗い、乾かしてから戻すだけで、排水まわりのトラブルはかなり減ります。ただし運転直後は槽内の湯も部品も熱いので、冷めてから外してください。洗浄力の低下が気になる場合は「業務用食洗機が洗えていない・汚れが残る原因と対処法」もあわせてご覧ください。

排水の清掃は、衛生管理の項目でもある

ドレンの手入れは「掃除の話」で終わりません。排水の清掃は、飲食店が守るべき一般的な衛生管理の基準そのものに、項目として書き込まれています。食品衛生法施行規則の別表第十七(第六十六条の二第一項関係)の「二 施設の衛生管理」ヘは、次のとおりです。

「排水溝は、固形物の流入を防ぎ、排水が適切に行われるよう清掃し、破損した場合速やかに補修を行うこと。」
出典:e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」別表第十七/2026年9月時点)

読みどころは「清掃し」と「破損した場合速やかに補修を行う」が同じ一文の中に並んでいることです。洗っても流れが戻らない、割れている、外れる——そこから先は清掃ではなく補修の領域だと、条文の側でも整理されています。

さらに同じ別表の「五 ねずみ及び昆虫対策」イには、次のように定められています。

「施設及びその周囲は、維持管理を適切に行うことができる状態を維持し、ねずみ及び昆虫の繁殖場所を排除するとともに、窓、ドア、吸排気口の網戸、トラップ及び排水溝の蓋等の設置により、ねずみ及び昆虫の施設内への侵入を防止すること。」
(同・別表第十七「五 ねずみ及び昆虫対策」イ/2026年9月時点)

排水溝の蓋を外したままにしない、清掃のあとにきちんと戻す——といった日々の所作も、この項目に直結しているということです。なお、飲食店営業を含む食品等事業者のHACCPに沿った衛生管理については、厚生労働省ホームページ「HACCP(ハサップ)」(2026年9月時点)に制度の説明があります。

頻度は「説明書 → 店の条件 → 記録」で決める

基準になるのは、あくまでお使いの機種の取扱説明書です。そのうえで、排水経路にかぎっては次の3つに当てはまる店ほど、間隔を詰めたほうが安全です。

・揚げ物が多く、油煙が機器のまわりに回りやすい
・気温が下がる時期に、排水の引きが落ちる立地・配管である
・機器の設置場所を動かした、厨房のレイアウトを変更した

そして、いつ・誰が・どこを手入れしたかを紙かボードに残しておくと、次に手を入れる時期を勘で決めずに済みます。施行規則の第六十六条の二第三項第三号にも「衛生管理の実施状況を記録し、保存すること。」とあり、記録そのものが求められている項目です。

清掃の頻度を機器ごとにどう組み立てるかは「業務用製氷機の分解洗浄と衛生管理|頻度・自店の範囲・依頼の目安」で、毎日の所作としての落とし込み方は「閉店後5分でできる厨房機器のお手入れルーティン」「厨房機器を長持ちさせる日常メンテナンス5つの習慣」で扱っています。

詰まる前に出る「予兆」と、やってはいけないこと

▶ 予兆として出やすいサイン
・機器の下の床が、拭くほどではないが湿っている日がある
・庫内の底に水がうっすらたまるようになった
・排水口に水を流したとき、以前より引きが遅い
・排水まわりからにおいが上がってくる
・霜の付き方が以前より厚い、または冷えが弱い日がある

この段階なら、清掃で戻せることが多くあります。逆に、床が濡れるようになってから着手すると、部品交換や設置のやり直しが必要になっているケースが増えます。

▶ 避けたほうがよいこと
・針金など硬いものを排水口に差し込む(部品を破損させると修理が大がかりになります)
・高圧洗浄機やホースで機器に水をかける(電装部に水が入ると故障を作ります)
・取扱説明書で指定されていない洗浄剤を使う。塩素系と酸性のものを混ぜて使わない
・食材が入った状態で重い機器を動かす(設置の傾きが疑われるときはご相談ください)
・冷媒(ガス)や電装に関わる部分に手を入れる

また、漏れた水がコンセントや延長コードに近づいているときは、濡れた手で触れないでください。無理に拭き取ろうとせず、その場でご連絡いただくほうが安全です。床が滑ると転倒事故にもつながります。厨房全体の水漏れの見分け方は「厨房機器の水漏れの原因と応急処置」にまとめています。

清掃しても戻らないときは、点検に切り替える

次のような状態は、汚れではなく機器側に原因があります。

・排水口に水を流しても引かない
・清掃しても数日〜1週間程度で再発する
・ドレンパンが割れている、ホースの接続部から漏れている
・水漏れと冷却不良(冷えない・霜が厚い)が同時に出ている
・機器を移動したあと、または導入直後から時々漏れる

費用面で迷う場合は「厨房機器は修理と買い替えどっちが得?」、依頼先で迷う場合は「厨房機器の修理業者の選び方|失敗しない5つのチェックポイント」もご覧ください。

東京・神奈川・埼玉・千葉のドレントラブルはご相談ください

トーキョーアポロメンテナンスは、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で業務用厨房機器の修理・メンテナンスを承っています。メーカーを問わずお受けし、24時間365日の受付で、営業中の急なトラブルにも即日で動きます。

そして当社は他社で断られた修理にも対応しています。ドレンパンやホースのように、部品の供給が終わってしまうと「本体ごと買い替えるしかない」と言われがちな箇所こそ、部品の製作や加工で使い続けられる場合があります。排水のトラブルを理由に買い替えを勧められた方は、決める前に一度ご相談ください。「厨房機器の修理を断られた方へ」もあわせてご覧ください。

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