
「冷蔵庫からガタガタ音がする」「閉店後の静かな厨房で、いつもと違う唸り音が聞こえる」——業務用冷蔵庫・冷凍庫の異音は、すぐに止まるものではないぶん、営業を続けてよいのか迷いやすいトラブルです。
この記事では、業務用冷蔵庫・冷凍庫の異音を音の種類ごとに分けて、考えられる原因と自分で確認できるポイントをまとめます。異常ではないことが多い音と、使用をやめて相談したほうがよい音の見分け方もあわせて解説します。
急いでいる方へ|先に結論
・焦げたにおい・煙があるときは、音の種類に関係なく使用をやめて電源を切る(火が出ている・煙が止まらないときは119番)
・庫内が冷えていないときは、音より先に食材の移動を(冷えない時の確認は下記の関連記事へ)
・冷えていて、ガタガタ・ビリビリと響く音なら、まず設置のぐらつき・周りの物との接触を確認
・カラカラ・カタカタと何かに当たる音なら、ファンに異物・霜・食品が当たっていないかを確認(電源プラグを抜いてから)
・確認しても音が続く、音がだんだん大きくなる場合は、修理の相談を
異音に気づいたら最初に見る3つのこと
音の原因を探す前に、次の3点を確認してください。ここで「今すぐ止めるべきか」「営業しながら様子を見られるか」がおおよそ分かれます。
▶ ① 焦げたにおい・煙がないか
機器から焦げたようなにおいがする、煙が出ているときは、そのまま使い続けず、電源スイッチを切って使用をやめてください。電源プラグやコンセントが熱い・焦げている場合は無理に触らず、分電盤のブレーカーを切ってから相談してください。火が出ている、煙が止まらないときは119番に連絡してください。ブレーカー(漏電遮断器)が何度も落ちる場合も、入れ直しを繰り返さずに相談してください。
▶ ② 庫内がいつもどおり冷えているか
庫内の温度表示や温度計を確認します。冷えが弱くなっている場合は、異音の原因探しより先に、傷みやすい食材を別の冷蔵庫・冷凍庫へ移してください。冷えないときの確認手順は業務用冷蔵庫が冷えない原因と応急処置、冷凍庫の場合は業務用冷凍庫が冷えない原因と応急処置で詳しく解説しています。
▶ ③ 音がどこから・いつ鳴っているか
音が機械室(コンプレッサーやファンが入っている部分)からか、庫内からか、本体全体が響いているのかを確かめます。あわせて「扉を閉めた直後だけ」「ずっと鳴っている」「ときどき大きくなる」など、鳴るタイミングも見ておくと、原因の切り分けにも修理の相談にも役立ちます。
異常ではないことが多い音
冷蔵庫・冷凍庫は、冷やすためにファンやコンプレッサー(圧縮機)が動いているため、ある程度の運転音がするのは正常です。業務用冷蔵庫メーカーのフクシマガリレイは、自社のお役立ちサイト「フクラボ」で次のような音を「異常ではありません」と案内しています。
- 「ヒューン」…扉を閉めたときに聞こえることがある、冷却ファンが送風している音
- 「ブーン」…インバータ機種で、圧縮機が運転を制御して運転音が大きくなることがある
また同社は、暑い時期になると冷蔵庫が高速運転に切り替わるため、音が大きくなることがあるとしています。夏場に音が大きくなるだけなら、すぐに故障とは限りません。ただし同社は、音がずっと鳴り続ける場合は食品の詰め過ぎなどの原因が考えられるとしています(下の表を参照)。
どの音が正常かは機種によって違います。手元に取扱説明書があれば、「故障ではない音」「修理を依頼する前に」といった項目を確認するのが確実です。
音の種類別|考えられる原因と確認ポイント
いつもと違う音がするときは、音の種類から原因の見当をつけられます。下の表は、自分で確認できる範囲をまとめたものです。
| 音の感じ | 考えられる原因 | 自分で確認できること |
|---|---|---|
| ガタガタ・ビリビリと本体が響く | 設置が水平でない・ぐらつき、壁や他の機器との接触 | 水平・固定の状態、本体と周りの物との隙間 |
| カラカラ・カタカタと何かに当たる | 機械室のファンに異物、庫内のファンに霜・氷・食品が接触 | 電源プラグを抜いてから、ファンまわりの異物の有無 |
| 唸るような音・運転音が高い | 食品の詰め過ぎ、厨房の気温が高い、機械室の吸込口がふさがれている、フィルターの目詰まり、電圧の低下 | 庫内の量、厨房の温度、吸込口・フィルター、たこ足配線や延長コード |
| モーター音がずっと止まらない | 詰め過ぎ・扉の頻繁な開け閉め・厨房の気温で庫内が冷えきらない、ファンへの食品の接触 | 吹き出し口の前のスペース、扉の開閉回数、厨房の温度 |
| 上の確認をしても消えない・だんだん大きくなる | ファンモーターやコンプレッサーなど部品の不具合の可能性 | 自分で分解せず、修理の相談を |
ガタガタ・ビリビリ:設置と周りとの接触
フクシマガリレイは、冷蔵庫の異音で特に多い原因として「据付・設置ミス」「周囲との接触」「ファンへの回転障害」の3つを挙げています。据え付けが不安定だと、冷蔵庫が床や壁と一緒に振動して音が出ます。掃除や模様替えで本体を動かしたあとに鳴り始めた場合は、とくに水平と脚の状態を確認してください。
壁や他の厨房機器と触れていると、振動が伝わって音になります。同社は本体と壁や他の厨房器具との間を「10cm以上開けて設置」するよう案内しており、隙間があっても何かが挟まっていることがあるので、ライトで照らして確認するとよいとしています。必要な隙間は機種によって違うため、取扱説明書の設置の項目もあわせて確認してください。
カラカラ・カタカタ:ファンに何かが当たっている
機械室のファンにビニール袋やプラスチック製のトレイなどが当たっていたり、庫内のファンに霜や氷が当たっていたりすると、何かが当たるような音がします。庫内のファンは、食品を詰め過ぎたときや出し入れの際に食品が直接ぶつかっていることもあり、その衝撃でファンがすでに破損している場合もあると同社は注意しています。
異物を取り除くときは、必ず電源プラグを抜いてから作業してください(電源プラグが無い機種は、分電盤のその機器のブレーカーを切ります)。機械室のカバーを外さないと届かない場所や、霜が厚く付いてファンが埋まっている場合は、無理に取ろうとせず相談してください。
唸る音・運転音が高い:冷蔵庫に負担がかかっている
食品の詰め過ぎで負荷が大きくなると、冷凍サイクルの中の圧力が高くなり、運転音が高くなることがあります。厨房の気温が高い、機械室の吸込口がふさがれている、コンデンサー(放熱器)のフィルターが目詰まりしているといった状態も、圧縮機(コンプレッサー)に負担をかけます。同社は、エアコンや換気で厨房の気温を下げ、35℃以下に抑えることが大切だとしています。
見落としやすいのが電源です。たこ足配線や電源コードの延長で電圧が下がり、起動がうまくいかないことがあると同社は説明しています。電圧の測定には専用の測定器が必要なので、配線を見直しても気になるときは専門業者に相談してください。フィルター掃除の頻度の目安は厨房機器を長持ちさせる日常メンテナンス5つの習慣でも紹介しています。掃除は電源を切ってから、取扱説明書の方法で行ってください。
異音があるときにやってはいけないこと
異音への対処で故障を広げてしまわないよう、次の点に注意してください。
▶ 電源を入れたままファンまわりに手を入れる
ファンが急に回り出すとけがのおそれがあります。異物を取るときは必ず電源プラグを抜いてからにしてください。
▶ 先のとがった物や刃物で霜・氷を削る
霜や氷がファンに当たっているときに、ナイフやアイスピックなどで削ると、冷却器を傷つけるおそれがあります。霜が厚いときは、取扱説明書の霜取りの方法に従うか、相談してください。
▶ 機械室を自分で分解する
機械室には電気部品や冷媒の配管が通っています。カバーを外しての作業や部品の交換は、専門の業者に任せてください。
▶ 音に慣れて放置する
フクシマガリレイは、本来しない音がするのは「どこかに負担がかかっているということ」で、電気代にも影響するとしています。同社は、放っておかずに、据付・設置、周囲との接触、ファンへの回転障害の3点を確認するよう呼びかけています。確認しても音が続く・大きくなるときは、修理の相談をおすすめします。
修理を頼むときに伝えると話が早いこと
異音の修理は、業者が到着したときに音が鳴っていないと、原因の特定に時間がかかることがあります。次の情報を用意しておくと、電話の段階で状況が伝わりやすくなります。
- 音の録音・動画…スマートフォンで、音がしている場所に近づけて撮っておく
- 音の種類と鳴るタイミング…「扉を閉めた後」「ずっと」「朝の起動時だけ」など
- 冷え具合…温度表示の数字や、冷えが弱くなっているかどうか
- 銘板の写真…本体の側面や扉の内側などにある、メーカー名・型式・製造年の表示
- 最近の変化…移動・掃除・機器の入れ替え・配線の変更などをしたか
保証期間内の機器や、保守契約・リース・レンタルの機器は、契約で修理の窓口が決まっていることがあります。保証期間内の機器は、メーカー以外に修理を頼むと保証の扱いに影響することもあります。依頼の前に、保証書や契約書を確認してください。どこに相談するか迷うときは厨房機器のメーカー修理と修理業者の違い|どちらに頼むべきかを参考にしてください。年数がたった機器で、直すか買い替えるかを迷う場合は厨房機器は修理と買い替えどっちが得?もあわせてご覧ください。
トーキョーアポロメンテナンスにご相談いただけること
トーキョーアポロメンテナンスは、メーカーを問わず業務用厨房機器の修理・メンテナンスに対応しています。24時間365日体制で受け付け、お電話いただければ最短30分でお伺いします(到着までの時間は場所や時間帯によって異なります)。部品の在庫も豊富にそろえています。
とくに力を入れているのが、他社で修理を断られた機器や、メーカーから買い替えを勧められたような修理です。部品がない、メーカーが分からないといった機器でも、直せる方法を検討します。ただし、修理できない機械も稀にありますので、まずは音の様子をお聞かせください。現地調査のあとに見積もりを提示し、追加費用が発生する場合は事前にご説明します。
冷蔵・冷凍まわりのほかのトラブルは、業務用冷蔵庫の水漏れ・水が出る原因と対処、業務用冷蔵庫・製氷機のドレン清掃、毎日の手入れは閉店後5分でできる厨房機器のお手入れルーティンでまとめています。




