
営業中にふと足元を見たら、業務用製氷機の前の床が水浸しになっていた——飲食店の厨房で意外と多いトラブルです。氷はドリンクにも仕込みにも欠かせないため、「止めて修理」という判断がしにくく、つい床を拭きながら営業を続けてしまいがちです。
ただ、製氷機の水漏れは漏れている場所によって原因がかなり絞り込めるトラブルでもあります。その場でできる確認と応急処置、そして業者を呼ぶべき見極め方を、業務用厨房機器の修理を専門にしているトーキョーアポロメンテナンスが順を追って解説します。
まず「どこから漏れているか」を見る
製氷機まわりの水漏れは、大きく4つのパターンに分けられます。床を拭く前に、水がどこから出ているかだけ確認してください。原因の切り分けが一気に進みます。
▶ 本体の手前下の床/前面パネルの手前や両サイド
フクシマガリレイの解説では、この症状の原因として「排水詰まり」か「排水逆流」が挙げられています。製氷機の水漏れで最も多いパターンです。
▶ 貯氷庫(氷をためる庫内)に水がたまっている
パナソニックの業務用厨房機器サポート公式FAQでは、排水ができずに庫内へ水がたまっている可能性があるとして、貯氷庫の排水口のつまりを確認するよう案内されています。
▶ 本体の底面がじんわり濡れている
同FAQでは、商品底面からの水漏れは結露などが考えられるとされ、換気をして改善するか様子を見る対処が示されています。
▶ ホースの接続部から出ている
排水ホースの破損、取り付け部のゆるみが原因のケースです。ホースまわりは目視で確認できます。
原因1:排水詰まり(もっとも多いパターン)
なぜ詰まるのか
製氷機は「水を凍らせて氷を落とす」機械なので、溶けた水が常に排水経路を通っています。この経路に水あかやぬめり、細かなゴミが少しずつ堆積すると流れが悪くなり、行き場をなくした水が本体の前面や下から溢れ出てきます。業務用冷蔵庫の水漏れでドレンの詰まりが起点になるのと同じ構図です。
その場でできる応急処置
フクシマガリレイが公開している排水詰まりの対処手順は次の流れです。
① 漏電遮断器をOFF(切)にして、電源プラグを抜く
水まわりの作業なので、通電したまま触らないことが大前提です。
② 製氷庫内にたまっている水と氷を取り除く
このとき出した氷と水は捨ててください。氷は口に入る食品です。排水が滞った状態の庫内にあった氷を提供に回すのは避けるべきです。
③ 排水口の隙間にホースの先を差し込み、水を流して水圧をかける
排水口につながっている管は抜くことができない構造になっている、とメーカーは注意を促しています。
④ 水が正常に流れるようになれば完了
流れが戻らない、あるいは数日でまた溢れる場合は、経路の奥や部品側の問題が疑われます。
ここからは当社からの補足です。排水口の管を無理に引き抜いたり、針金などの硬いものを突っ込んだりするのは避けてください。部品を破損させると、詰まりを直すだけで済んだはずの修理が大がかりになります。
原因2:排水逆流(設置環境の問題)
掃除をしても繰り返し漏れる場合、機械ではなく設置のしかたが原因のことがあります。排水逆流とは、製品の排水出口と設備側の排水ピットの高さ関係が崩れ、いったん流れた水が戻ってきてしまう状態です。フクシマガリレイは対処として「排水ピットが製品よりも低い位置にくるように、再設置をしてください」と案内し、あわせて「製氷機を安定した台の上に載せてください」(転倒防止の措置も行う)という方法を挙げています。
導入直後から時々漏れている、レイアウト変更や機器の入れ替えをしてから症状が出た、というケースはこの可能性を疑ってください。部品交換だけでは直らないことがあります。
ただし、据え付け位置の変更は給排水と電源の接続を伴ううえ、業務用製氷機は重量物です。ご自身で持ち上げようとせず、漏電遮断器をOFFにして電源プラグを抜いたうえで、業者にご相談ください。
原因3:結露と周囲の温度環境
本体の底面や側面がじんわり濡れる程度なら、故障ではなく結露のこともあります。結露は、機器の表面温度が周囲の空気の露点を下回ったときに起きる現象で、厨房内の湿度が高いほど起こりやすくなります。
なお結露とは別に、フクシマガリレイは製氷機全般の注意点として「製氷機には機器周囲の外気温度も大きな影響を与えます。普段から空調などを活用して、機器周辺の温度が高くならないように気を配りましょう」と促しています。
特に夏場の厨房は、火気とオーブンの熱で機器の周囲だけ極端に高温になりがちです。製氷機の背面や側面を段ボールで塞いでいる、壁との隙間がほとんどない、といった状態は放熱を妨げ、製氷能力の低下を招きます。氷ができない・氷の量が少ないという症状が同時に出ているなら、まず設置環境から見直す価値があります。
原因4:部品の劣化・内部の不具合
ここから先は分解が必要な領域です。給水まわりの弁が閉じきらず水が流れ続けている、パッキンが経年で硬化して隙間ができている、断熱材が劣化して結露が増えている、といったケースでは清掃では止まりません。冷媒(ガス)が関わる修理は資格を持った技術者の作業になります。
「部品がもう出ない」「古い機種なのでメーカー対応は終了しています」と言われてしまうのもこの段階です。ただし、部品供給が終わった機種でも、加工・製作で対応できる場合があります。トーキョーアポロメンテナンスは、他社やメーカーで断られた修理のご相談を数多くいただいており、部品の製作や改造による対応も含めて検討します。修理を断られたときに知っておきたいこともあわせてご覧ください。
「拭きながら営業」を続けるリスク
水漏れは痛みが少ないトラブルなので後回しにされがちですが、放置すると次のような形で跳ね返ってきます。
▶ 厨房の床が滑る/濡れた床はスタッフの転倒事故に直結します。ドリンクの往復動線上にある製氷機の前は、特に人の行き来が多い場所です。
▶ 衛生面の問題/排水が滞った貯氷庫は、水がたまったまま放置されやすい環境です。氷は加熱せずそのまま提供する食品であるだけに、保健所の指導対象にもなり得ます。
▶ 建物・什器へのダメージ/床材の劣化や、テナントの場合は階下への漏水につながることもあります。
▶ 製氷量の低下/排水不良は製氷サイクルにも影響します。繁忙日に氷が足りなくなってからでは対応が間に合いません。
業者を呼ぶかどうかの判断基準
次のいずれかに当てはまるなら、自力での対処は切り上げて修理業者にご相談ください。
・排水口の清掃をしても水が流れない
・掃除してもすぐ(数日〜1週間程度で)再発する
・水漏れと同時に氷ができない、氷が小さい・白いなどの症状がある
・ホースや接続部に破損がある
・機械室の内部から漏れているように見える
・エラー表示が出ている、運転が途中で止まる
費用面で迷う場合は、修理と買い替えの判断基準や修理業者の選び方も判断材料になります。
再発させないための予防
製氷機の水漏れは、日常の点検でかなり防げるトラブルです。週1回程度を目安に排水口まわりを点検して汚れを取り除く(お使いの機種の取扱説明書に清掃頻度の指定があれば、それに従ってください)、貯氷庫内に古い氷をためこまない、周囲に物を積んで放熱を妨げない——この3つを習慣にするだけで、再発をかなり防げます。閉店後5分のお手入れルーティンや厨房機器を長持ちさせる日常メンテナンスに、製氷機の排水口チェックを1項目加えてみてください。
また、氷の需要が跳ね上がる夏本番の前に一度点検しておくと、繁忙期のトラブルを避けやすくなります。厨房機器全般の水漏れの見分け方も参考にどうぞ。
東京・神奈川・埼玉・千葉の製氷機トラブルはご相談ください
トーキョーアポロメンテナンスは、業務用厨房機器の修理・メンテナンスを専門に、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で対応しています。メーカーを問わず、24時間365日の受付で緊急の修理にも即日で動きます。
そして他社で断られた修理にも対応しています。「部品がない」「古すぎる」と言われた製氷機でも、部品の製作や加工で使い続けられるケースがあります。氷が止まると営業そのものが止まってしまう機器だからこそ、買い替えを決める前に一度ご相談ください。




