
「この冷蔵庫、耐用年数を過ぎているから買い替えたほうがいい?」――飲食店のオーナー様から、こうしたご相談をよくいただきます。実は「耐用年数」という言葉には、税金の計算に使う「法定耐用年数」と、機器が実際に使える年数(寿命)の2つの意味が混ざって使われています。
この記事では、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県で業務用厨房機器の修理を行うトーキョーアポロメンテナンスが、2つの違いと、買い替えを考える前に確認したいポイントを整理します。
この記事の要点
・法定耐用年数は、減価償却(税金の計算)のための年数。その年数で壊れるという意味ではない
・実際の寿命は、使い方・設置環境・日々のお手入れで大きく変わる
・買い替えの判断は「年数」より「症状」と「修理できるか」で考える
法定耐用年数とは?税金の計算に使う年数
法定耐用年数は、機器の購入費用を何年かに分けて経費にする「減価償却」のために、国の省令(減価償却資産の耐用年数等に関する省令)で決められている年数です。厨房機器に関係しそうな区分には、たとえば次のようなものがあります。
| 省令の区分 | 耐用年数 |
|---|---|
| 機械及び装置「飲食店業用設備」 | 8年 |
| 器具及び備品「電気冷蔵庫、電気洗濯機その他これらに類する電気又はガス機器」 | 6年 |
| 器具及び備品「陳列だな及び陳列ケース」のうち「冷凍機付又は冷蔵機付のもの」 | 6年 |
同じ冷蔵庫でも、厨房の設備一式として扱うのか、1台の器具として扱うのかで当てはまる区分が変わることがあります。平成20年度の税制改正の際に国税庁が公表したQ&A(現在も国税庁ホームページに掲載)では、厨房設備などの機械及び装置がどの設備の種類に当たるかについて「基本的には、法人の業種で判定するのではなく、その設備がどの業種用の設備に該当するかにより判定することとなります。」と説明されています。
出典:国税庁ホームページ「耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A」/2026年10月時点
また、中古で購入した機器は、別の計算で年数を決められる場合があります。自店の機器がどの区分になるか、いつまで償却するかは、顧問の税理士さんや税務署に確認してください。当社は修理の専門業者のため、税務の判断はお答えできません。
法定耐用年数=寿命ではありません
法定耐用年数は、あくまで税金の計算上の年数です。年数を過ぎたからといって機器が使えなくなるわけではなく、逆に年数の途中でも、使い方によっては大きな故障が起きることがあります。
実際に何年使えるかを左右するのは、主に次のような要素です。
実際の寿命を左右する4つの要素
▶ 使用頻度と営業時間
長時間営業や仕込みでの連続運転が多いほど、部品の消耗は早くなります。
▶ 設置環境
熱や油煙がこもる場所、壁との間に隙間がない置き方は、冷蔵機器の放熱を妨げ、負担を大きくします。
▶ 日々のお手入れ
フィルターやバーナー、ドレンまわりの清掃を続けているかどうかで、故障の起きやすさが変わります。具体的な方法は厨房機器を長持ちさせる日常メンテナンス5つの習慣や閉店後5分でできるお手入れルーティンでご紹介しています。
▶ 部品が手に入るか
古い機種は交換部品が入手しにくくなることがあり、「部品がないので直せない」と言われるきっかけになります。
年数より大事な「そろそろ点検」のサイン
買い替えを考える前に、まずは機器ごとの症状を確認しましょう。次のような変化は、点検や修理を検討するサインです。
▶ 冷蔵庫・冷凍庫
冷えが悪い、霜が増えた、今までなかった音がする。→業務用冷蔵庫が冷えない原因/業務用冷凍庫が冷えない原因と応急処置/冷蔵庫・冷凍庫の異音
▶ ガスコンロ・フライヤー
火がつきにくい、途中で消える、炎が赤い、温度が上がらない。→ガスコンロの火が赤い・火力が弱い原因/業務用ガスコンロの火がつかない/火が途中で消える原因/フライヤーの温度が上がらない
ガスのにおいがするときは、コンロなどに火をつけず、火花の原因になる換気扇や照明などのスイッチも操作しないでください。ガス栓を閉めて窓や戸を開け、ご契約のガス会社の緊急連絡先へ連絡します。頭痛・吐き気・めまいを感じる人がいる場合は全員を屋外へ出し、症状が続くときは救急(119番)に連絡してください。
▶ 製氷機・食洗機
氷の量が減った、床が濡れる、洗い残しが目立つ。→製氷機の氷ができない・少ない原因/製氷機の水漏れ/食洗機が洗えていない原因
同じ箇所の故障が短い間隔でくり返す場合は、機器全体の消耗が進んでいる可能性があります。症状と修理の履歴をメモしておくと、修理か買い替えかを相談するときの判断材料になります。
年数を過ぎた機器、修理か買い替えか
法定耐用年数を過ぎていても、故障の原因が一部の部品であれば、修理して使い続けられることは少なくありません。判断の考え方は厨房機器は修理と買い替えどっちが得?で詳しくまとめています(同じ記事の「使える年数の目安」は、この記事で説明した法定耐用年数とは別のものです)。
「古い機種なので部品がない」「メーカーの対応が終わっている」と断られた場合でも、すぐにあきらめる必要はありません。トーキョーアポロメンテナンスはメーカーを問わず、他社で断られた修理にも対応しており、部品の製作や改造で使い続けられる方法を探します。状態によっては、修理より買い替えをおすすめすることもあります。
なお、保証期間内の機器や、保守契約・リース・レンタルの機器は、契約で修理の窓口が決まっていることがあります。依頼の前に保証書や契約書を確認してください。どこに相談するか迷うときは、厨房機器のメーカー修理と修理業者の違いを参考にしてください。
あわせて、厨房機器の修理を断られたときに知っておきたいことや、買い替えで中古機器を検討する方向けの中古の業務用厨房機器で失敗しないポイントもご覧ください。
まとめ
厨房機器の「耐用年数」は、税金の計算に使う法定耐用年数と、実際に使える寿命とで意味が違います。法定耐用年数は区分によって年数が異なり、どれに当たるかは税理士さんへの確認が確実です。一方、実際の寿命は使い方とお手入れ次第。年数だけで買い替えを決めず、まずは症状を確認して、修理できるかどうかを専門業者に相談してみてください。




