
「業務用冷蔵庫は何度に設定すればいいのか」「電気代が気になるから、設定を少し弱めてもいいのか」——24時間動き続ける冷蔵庫・冷凍庫は、温度と電気代のどちらも気になる機器です。
この記事では、業務用冷蔵庫・冷凍庫の温度の目安と、食品の安全を守ったまま電気代を抑える使い方をまとめます。設定温度を上げる前に見直したいポイントを、今日からできる順に紹介します。
急いでいる方へ|先に結論
・衛生管理で確認する庫内温度の例は冷蔵10℃以下・冷凍-15℃以下(厚生労働省ホームページに掲載の手引書)
・設定の目安の一例は冷蔵庫1℃~5℃・冷凍庫-18℃~-22℃(業務用冷蔵庫メーカー フクシマガリレイの案内・機種で違うので取扱説明書も確認)
・電気代は、設定温度を上げるより先に詰め込み・扉の開け閉め・フィルターの汚れ・放熱のじゃまを見直す
・設定を変えても温度が下がらないときは、食材を移し、状態に応じて使わない(廃棄を含む)などの判断をしたうえで、故障の確認・修理の相談を
業務用冷蔵庫・冷凍庫の適正温度の目安
「適正温度」には、衛生管理のために確認する温度と、メーカーが案内する設定の目安の2つがあります。混同しないように分けて押さえておきましょう。
衛生管理で確認する温度:冷蔵10℃以下・冷凍-15℃以下
飲食店のHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理では、冷蔵・冷凍庫の温度の確認が基本の項目のひとつです。厚生労働省のホームページに掲載されている「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)」(公益社団法人日本食品衛生協会作成・令和6年1月改訂)では、確認のタイミングの例を「始業前」、方法の例を「温度計で庫内温度を確認する。(冷蔵:10℃以下、冷凍:-15℃以下)」としています。
この数字は、手引書が庫内温度を確認するときの目安の例として示しているものです。設定温度をこの数字に合わせてよいという意味ではありません。仕入れた食品は、表示されている保存方法も守ってください。また、温度の表示だけでなく、庫内に置いた温度計でも確かめると、表示のずれにも気づけます。
メーカーによる設定の目安(一例)
業務用冷蔵庫メーカーのフクシマガリレイは、自社のお役立ちサイト「フクラボ」で、「冷蔵庫:1℃~5℃、冷凍庫:-18℃~-22℃を目安として設定してください」と案内しています。同社は、庫内の食品の品質に影響がないかを確認したうえで、適切な温度に設定することが大切だとしています。
| 目安の種類 | 冷蔵庫 | 冷凍庫 |
|---|---|---|
| 衛生管理で確認する庫内温度の例(手引書) | 10℃以下 | -15℃以下 |
| 設定の目安(フクシマガリレイの案内) | 1℃~5℃ | -18℃~-22℃ |
設定できる範囲や推奨の設定は機種によって違います。手元の取扱説明書もあわせて確認してください。
電気代を抑えるなら、設定温度より先に「使い方」
資源エネルギー庁の「夏季の省エネメニュー(事業者の皆様)」(2026年夏)は、飲食店の電力消費の内訳(17時頃)について「空調が約51%、照明が約17%を占めます」としています。冷凍冷蔵庫の対策としては「冷凍冷蔵庫の庫内は詰め込みすぎず、庫内の整理を行うとともに、温度調節等を実施する。」を挙げ、その効果の目安を建物全体の消費電力に対して0.4%としています。
つまり、冷蔵庫の使い方を変えるだけで店全体の電気代が大きく下がるとは限りません。また同資料は「省エネを意識するあまり、保健衛生上、安全上及び管理上不適切なものとならないようご注意ください。」とも注意しています。当社としては、設定温度を上げて節約するより先に、冷蔵庫に余計な負担をかけない使い方を見直すことをおすすめします。負担を減らすことは、故障の予防にもつながります。
出典:資源エネルギー庁ホームページ「夏季の省エネメニュー(事業者の皆様)」/2026年10月時点
今日からできる電気代を抑える使い方5つ
▶ ① 庫内を詰め込みすぎない
冷蔵庫は吹き出し口から出た冷気が庫内を回って冷やしています。フクシマガリレイは、食品を詰め込みすぎると冷気が回りにくくなり、余計な電力を使うとしています。同社が挙げる目安は「奥の壁が見える7割程度の収容量」で、食材で冷気の吹き出し口をふさがないことも大切です。期限の切れた食材がないか、定期的に中身を確認しましょう。
▶ ② 扉の開け閉めの回数と時間を減らす
扉を開けるたびに冷気が逃げ、外の空気が入ります。資源エネルギー庁のメニューも、飲食店の厨房の対策として「業務用冷蔵庫のドアの開閉回数や時間を低減し、冷気流出防止ビニールカーテンを設置する。」を挙げています。よく使う食材を手前に置くなど庫内を整理しておくと、出し入れが短く済みます。扉を閉めてもすき間がある場合は、ドアパッキンの劣化も疑ってください。パッキンの確認方法は業務用冷蔵庫が冷えない原因と応急処置で紹介しています。
▶ ③ 熱いものをそのまま入れない
熱い食品をそのまま入れると庫内の温度が上がり、まわりの食品の傷みや電気代の上昇につながるとフクシマガリレイは注意しています。一方で同社は、粗熱が取れるまで常温で放置すればよいわけではないとして、粗熱取りにはブラストチラーなど急速冷却用の機器をすすめています。先の手引書も、冷却の段階で「危険温度帯(10~60℃)に長く留まらないようにすることが重要です。」とし、方法の例として「小さな容器に食品を小分けしたり、食品の入った鍋のあら熱をとり、ふたをして鍋ごと冷蔵する」ことを挙げています。
▶ ④ 凝縮器(コンデンサー)のフィルターを掃除する
冷蔵庫は、冷やすときに出た熱をコンデンサー(凝縮器)から外へ逃がしています。フィルターにほこりや油がたまると放熱がうまくいかず、冷える力が落ちます。フクシマガリレイはフィルターの清掃を「月に1~2回」と案内し、フィルターの目詰まり率が95%の場合は消費電力量が約1.2倍になる例も示しています。フィルターの掃除は電源を切ってから、取扱説明書の方法で行ってください。同社は、フィルターを外したまま運転を続けるとほこりが内部に入り、正常に運転できなくなるとして、清掃後はすぐ元に戻すよう注意しています。フィルターの奥にあるコンデンサー本体の洗浄は、自分で行わず専門の業者に相談してください。毎日の手入れの流れは閉店後5分でできる厨房機器のお手入れルーティンにまとめています。
▶ ⑤ 放熱のじゃまをしない(上に物を置かない・まわりを熱くしない)
フクシマガリレイは、タテ型冷蔵庫の上部には冷却ユニットがあり、上に物を置くと放熱が妨げられて電気代の増加や故障の原因になるとしています。上を作業台として使う前提の機種もあるため、自店の機器は取扱説明書で確認してください。液体や水気のある物は、こぼれたときに漏電や感電につながるおそれもあるため、上には置かないでください。設置場所の室温が高いほど冷蔵庫の負担も大きくなります。本体と壁・ほかの機器とのすき間の目安は業務用冷蔵庫・冷凍庫の異音|音の種類別の原因と確認ポイントでも触れています。
温度が下がらない・電気代が急に上がったときは
先の手引書は、温度に問題があったときの対応の例として「温度異常の原因を確認し、設定温度の再調整、あるいは故障の場合は修理を依頼する。」「食材の状態に応じて使用しない又は加熱して提供する。」を挙げています。上の5つを見直しても庫内温度が目安まで下がらない場合は、設定温度を下げ続けずに、まず傷みやすい食材を別の冷蔵庫・冷凍庫へ移してください。温度が上がっていた食材は、状態に応じて使わない(廃棄する)・十分に加熱して提供するといった判断が必要です。ただし、同じ手引書はウエルシュ菌について、熱に強い芽胞をつくり通常の加熱調理では死滅しないと説明しています。温度が上がっていた時間が分からない食材や、状態の判断に迷う食材は、使わないほうが安全です。
確認の手順は、冷蔵庫なら業務用冷蔵庫が冷えない原因と応急処置、冷凍庫なら業務用冷凍庫が冷えない原因と応急処置をご覧ください。床に水が出ている場合は業務用冷蔵庫の水漏れ・水が出る原因と対処、排水まわりの手入れは業務用冷蔵庫・製氷機のドレン清掃が参考になります。
保証期間内の機器や、保守契約・リース・レンタルの機器は、契約で修理の窓口が決まっていることがあります。依頼の前に保証書や契約書を確認してください。どこに相談するか迷うときは厨房機器のメーカー修理と修理業者の違い、年数がたった機器で直すか買い替えるかを迷う場合は厨房機器は修理と買い替えどっちが得?もあわせてご覧ください。
トーキョーアポロメンテナンスにご相談いただけること
トーキョーアポロメンテナンスは、メーカーを問わず業務用厨房機器の修理・メンテナンスに対応しています。24時間365日体制で受け付け、お電話いただければ最短30分でお伺いします(到着までの時間は場所や時間帯によって異なります)。部品の在庫も豊富にそろえています。
とくに力を入れているのが、他社で修理を断られた機器や、メーカーから買い替えを勧められたような修理です。部品がない、メーカーが分からないといった機器でも、直せる方法を検討します。ただし、修理できない機械も稀にありますので、まずは冷え具合や温度表示の様子をお聞かせください。現地調査のあとに見積もりを提示し、追加費用が発生する場合は事前にご説明します。
毎日の手入れの習慣は厨房機器を長持ちさせる日常メンテナンス5つの習慣でも紹介しています。




