厨房の換気扇・ダクト清掃と火災リスク|点検の目安と手入れ手順

トーキョーアポロメンテナンス

 

換気扇のフィルターや天蓋(フード)は毎日目に入りますが、その奥の排気ダクトの中は、ふだん誰も見ていません。そこにたまった油が、厨房で起きた火を燃え広げる通り道になることがあります。この記事では、東京消防庁が飲食店向けに出しているガイドラインをもとに、換気扇・ダクトまわりの点検の目安と、お店でできる手入れ、専門業者に任せる範囲を整理します。

この記事の要点

・天蓋やグリスフィルターなど外から見える部分は日常的に、ダクトの内部は概ね1年ごとに点検するのが東京消防庁の示す目安です(店の規模や使い方で調整)。

・グリスフィルターの漬け置き洗浄はお店でもできます。外したら正しい位置に戻すところまでが手入れです。

・ダクト内部・排気ファン・防火ダンパー・自動消火装置は、専門の業者や資格者に任せる範囲です。

なぜダクトの油汚れが火災につながるのか

東京消防庁は、飲食店の厨房設備の火災予防ガイドラインを公開しているページで、次のように注意を呼びかけています。

「特に排気ダクト等の附属設備は、普段、人目に触れず、注意が行き届かない部分ですが、内部に多量の油脂等が堆積し、延焼ルートになるおそれがあります。」
出典:東京消防庁ホームページ「飲食店の厨房設備等に係る火災予防対策ガイドライン」/2026年11月時点

同じガイドライン(PDF・平成29年11月更新版)では、排気ダクトなどは不燃材料でできているため、維持管理ができていれば出火してもすぐに燃え広がるわけではない一方で、油脂などが付着・堆積すると、それが燃え広がる材料になると説明しています。つまり、火を出さない注意と、出てしまった火を広げない手入れは別のものです。コンロやフライヤーのそばを離れない習慣に加えて、ダクトまわりの油を減らしておくことが、もう一段の備えになります。

また、同じページでは、レンジフードや排気ダクトは油脂やほこりがたまりやすく、手入れを怠ると火災だけでなく一酸化炭素中毒事故の危険にもつながると案内しています。排気がうまくいかないと、ガス機器の燃焼にも影響します。炎が赤い・すすが出るといった症状は「業務用ガスコンロの火が赤い・火力が弱い原因と対処法」、換気扇の風や給気の不足で火が消える症状は「業務用ガス機器の火が途中で消える|立ち消えの原因と確認手順」で詳しく解説しています。

ガス機器を使っていて、頭痛・吐き気・めまいを感じる人がいるときは、機器の使用を止め、窓や戸を開けて全員を屋外へ出してください。症状が続くときは119番に連絡しましょう。ガスのにおいがするときは、火をつけず、火花が出ることがあるため換気扇や照明のスイッチにも触らず、ガス栓を閉めて窓や戸を開け、ガス会社に連絡してください。

どこを、どのくらいの頻度で点検するか

東京消防庁のガイドラインは、点検の頻度について、天蓋やグリス除去装置など外から見える部分は日常的に、排気ダクトの内部など外から確認しにくい部分は概ね1年ごとに、という目安を示しています。あわせて、この頻度はあくまで目安で、店舗の規模や機器の使い方に応じて決めるよう書かれています。揚げ物・焼き物が多い店や、営業時間が長い店は、目安より短い間隔を考えてもよいでしょう。

部位 見るポイント(ガイドラインの点検表より)
天蓋(フード) 内側にワックス状の油汚れが付いていないか/樋に油がたまっていないか/オイル抜きのプラグから油が漏れていないか
グリスフィルター 油で目詰まりしていないか/変形・損傷・腐食がないか/正しい位置に付いているか
フィルターケース・グリス回収容器 回収容器の油量に余裕があるか/油漏れや、油を送るパイプの詰まりがないか
排気ファン 運転音や振動に異常がないか

排気ファンの内部は点検口からの確認になるため、お店では音や振動の変化に気づくところまでにして、内部の点検は専門の業者に任せるのが安心です。毎日の閉店後に見るなら、まずは天蓋の樋とグリス回収容器の油の量です。「閉店後5分でできる厨房機器のお手入れルーティン」でも、油受けの確認を日課の一つに入れています。

お店でできる手入れ:グリスフィルターの漬け置き洗浄

ガイドラインの清掃要領では、グリスフィルターの洗い方を次の流れで示しています。作業は火を止め、機器と天蓋が十分に冷めてから行いましょう。洗剤は製品の表示と、フードの取扱説明書に従ってください。

漬け置き洗浄の手順

▶ 1. 付いた油汚れをブラシなどで大まかに落とす

▶ 2. 洗浄用の洗剤を入れた水槽に漬け置きする

▶ 3. 油が溶けたら水道水で洗い流す

▶ 4. 完全に乾かしてから取り付ける

▶ 5. 廃液は中和してから排水する

中和のしかたは使った洗剤の表示に従ってください。塩素系の製品と酸性の製品は混ぜないこと。手袋や保護めがねなど、表示にある保護具を使い、天蓋からフィルターを外すときは安定した踏み台を使いましょう。

見落としやすいのは4と5です。濡れたまま戻したり、外したまま調理を続けたりしないこと。点検表にも「正しい位置に取り付けられていること」の確認が入っています。また、油を含んだ廃液を一度に流すと、排水管やグリストラップの負担になります。グリストラップの手入れは「グリストラップの清掃頻度と放置リスク」をご覧ください。

専門業者に任せる範囲

ガイドラインの清掃要領には、天蓋の奥の排気ダクト内部、排気ファン、防火ダンパー(火炎伝送防止装置)の清掃も載っていますが、スクレーパーで油をこそげ落としたり、排気ファンのブレーカーを切ってから羽根車を洗ったり、温度ヒューズが劣化していれば交換したりと、高所作業や分解を伴うものが中心です。ガイドラインは、厨房排気設備の点検を専門の知識と技術を持つ資格者に依頼することもできると案内しています。また、自動消火装置は、消防設備士などの資格者による点検とあわせて確認するよう書かれています。

ダクト内部の清掃は、無理にお店で行わず、厨房排気設備の清掃を専門とする業者への依頼を検討してください。テナントとして入っている店舗では、ダクトがビルの共用設備につながっていることもあるため、管理会社にも確認しておくと安心です。

なお、このガイドラインは東京消防庁の管内(島しょ地域と稲城市を除く東京都のほぼ全域)のお店に向けたものです。火を使う設備の管理の基準は、管内では東京都の火災予防条例で、神奈川県・埼玉県・千葉県などの他県や稲城市・島しょ地域では、それぞれの地域の火災予防条例で定められています。細かな基準は所轄の消防署に確認してください。

ダクトがきれいでも、機器側の不調は残る

ダクトやフィルターを掃除したのに、炎の色が戻らない、火が途中で消える、点火しにくいといった症状が続く場合は、コンロやフライヤーなど機器そのもののバーナーや部品に原因があることも考えられます。バーナーの汚れについては「業務用バーナー清掃の正しいやり方と頻度」、日頃の手入れ全体は「厨房機器を長持ちさせる日常メンテナンス5つの習慣」も参考にしてください。

トーキョーアポロメンテナンスは、業務用厨房機器の修理を24時間365日受け付けています。部品がない、メーカーが分からないといった古い機器や、他社で断られた修理もご相談ください。部品の製作や改造を含めて対応を検討します(「厨房機器の修理を断られたときに知っておきたいこと」)。まずはお電話で症状をお聞かせください。

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